帰ってきたMX-ER ― 2009/07/12
帰ってきました、Ayre MX-R改めEau Rouge MX-ER。
代替アンプのBalanced Audio Technology VK-250で約1週間聞いてきましたが、ものの2日でEau Rouge MX-ERが恋しくなってしまいました。
帰ってきてしばらくは落ち着くまで時間がかかるかもと思っていましたが、このアンプの立ち上がりは早いようです。半日ほどで回復しました。(初期エージングには時間がかかるらしいですが)
VK-250もかなり優秀で、鳴りっぷりのよい音を堪能しましたが、しばらく聞いていると、やや表面的な再生で、こちらを引きこむまでの官能的な音ではありませんでした。でも、このアンプはかなりのオーディオ優等生です。
MX-ERは、こちらをグッと魅了します。いつも、ちょっとだけ聞こうと思っていても、つい先へ先へと聞かせてしまうところがあります。
今鳴っている弦はしびれるほど素晴らしい、次の木管はどんなだろう、その次の全奏は・・・、などときりがありません。
また、購入してからあまり聞いていないCDを聞いても、ものすごく引き込まれてしまいます。今までのアンプとははっきりと一線を画します。
今のMX-ERは借りものですが、実は何と既に正式発注してしまいました。導入を決意するのにそれほど時間はかかりませんでした。
MX-ERは、途中返送を含めて、かれこれもう1か月以上借りています。これだけ長く貸してもらえることなどめったにありませんね。お店に感謝感謝です。
とにかく、これほどの満足感が得られるなら、ン百万のローンもいとわないとほれ込んでしまったのです。
ハイエンドになればなるほど要求はどんどん高度になってきますが、こちらの冷静な判断力を狂わせてしまうほど突き抜けたものに出会ってしまうと、あっさりと降参してしまいます。
私が発注したのは、シルバータイプです。Eau Rouge MX-ERはブラックが標準なのですが、わがままを通してしまいました。
実は、ブラックと迷いました。高い買い物ですから安易に決めたくはありませんでした。迷った挙句、ブラックの精悍さよりシルバーの輝きのほうを選択しました。やはり自分は金属フェチなんですね~。
正式発注はしましたが、Ayre MX-RをEau Rougeカスタム仕様のMX-ERにするため、手元に届くまでにやや時間がかかるようです。
7月末には到着する予定です。早く自分のものになったMX-ERを聞きたいですが、ここは我慢のしどころです。あわてることはない、と自分に言い聞かせています。
Ayre MX-R ― 2009/07/16
Eau Rougeのカスタムチューンを施す前に、まず純正ノーマルのAyre MX-Rをどうしても聞きたくて、送ってもらいました。
新品を開梱する時はやはり自分の手でしたいものです。
まず、外箱の段ボールは2重箱で、それを開けると、MX-Rが黒い布で包まれています。取説の袋の中にも手袋が入っていましたが、それだけ外観を損なうことに配慮がなされています。
いつになく、かなり時間をかけて慎重に設置完了しました。このアンプは自分のものだと思うと、思わず大切にしてしまいます。
設置は、MMWボードの上に置いただけです。ACケーブルはEau Rouge MX-ERで使用していたものと同じものです。
これからエージングを兼ねて何日か聞いていきますが、ノーマルAyre MX-Rのほうが好みだったらどうしようかな~
すごく楽しみです。
Ayre MX-R 2日目 ― 2009/07/17
ノーマルAyre MX-Rを設置した昨日は、家族の迷惑を顧みず、いつもより遅くまでフルボリュームで聞きました。
そして、丸1日電源入れっぱなしで、今日も聞き始めています。MX-Rはもうあっちっちの状態です。
しかし、丸1日経っても、その音の印象は、昨夜とそれほど変わりませんでした。
良くも悪くも超高級アルミインゴッドの音という感じです。ノイズは低く抑えられ、かっちりとした音で、とにかく高性能で正確な音が鳴ります。
でも、Eau Rouge MX-ERと比べて、まず、壁全体から全帯域がウワッと迫りくる感じではない。音場がまだまだ縮んだ感じで、音の彫りの深さや密度感や気配感など、凄味が物足りません。
総合的に言えば、高性能ぶりは分かる。正確さも分かる。セパレーションのよさも分かる。高SNも分かる・・・、けど・・・MX-ERと比べると、かなり物足りない(-_-;)
この音なら、たとえ試聴したとしても、ああ最新のアンプはさすがに高性能になってるな、で終わってしまうと思います。そして、OmegaOmicronMono交換を決心することはなかったと思います。
そこで今日は、手持ちのスパイクとベース(Eau Rouge ER-MSX+CP-SB)を使用してみました。これを使用すると、今借りているMX-ERと同じセッティングになります。(MX-ERはもっと上級のスパイクが付属するらしいですが)
スパイク&ベースを追加すると、かなりいい感じになってきました。
SNが高まり、音像の彫りの深さも向上しました。また、SPからの音離れも良くなりました。低域も伸びたような感じです。
Eau Rouge スパイクは、一晩寝かせるとさらに安定して良くなるので、このまま一晩寝かせて、明日じっくり聞いてみようと思います。
Ayre MX-R 3日目 ― 2009/07/18
ノーマルのAyre MX-Rではいま一つ満足感が得られず、ACケーブルは交換済でしたが、昨日、スパイクとベース(Eau Rouge ER-MSX+CP-SB)を追加セッティングしました。
一晩寝かせたスパイク効果はどれほどかな~、楽しみです。
初日から、試聴CDはStereo Sound Reference Record vol.3「世界の五大コンサート・ホール」に固定です。
Stereo Sound Reference Recordはvol.1~3を持っていて、同じ曲が収録されている別のCDも持っているのですが、なぜかこのReference Recordのほうが音がいいと思います。
特別な盤質が使われていたりするんですかね~?
さて、今日の音は・・・、
確かに昨日よりは良くなりました。SN感、低域の伸び、奥行き感などで向上を認めました。
でも、期待が大きすぎたかな、というのが正直なところです。
いや、Eau Rouge MX-ERを聞いていなかったら、この音でかなり感激だったかもしれません。
しかし、一旦すごい音を聞いてしまうと、それが自分の基準になってしまいます。これはオーディオ人なら分かると思います。
もっと音場を広く、もっと彫りを深く、もっと各楽器を色濃く、もっとリアルで生々しいはずだ・・・などと、物足りなさを感じてしまいます。もはや、耳がそのようにしか受け付けなくなったのでしょう。
ノーマルにACケーブルとスパイクなど、周辺の対策でどこまで可能性を伸ばせるか確かめたかったのですが、たぶんどう対策しても、ノーマルAyre MX-Rのリミッターが解除されることはなさそうです。
MX-ERだけを聞いていたら、そんなこと考えなかっただろうと思いますが、自分にとってはすごくおもしろい実験ができました。
ノーマルAyre MX-Rを聞くことによって、かえってEau Rouge MX-ERの凄さや、得がたい魅力を再認識しましたよ(^.^)
Ayre MX-R 4日目 ― 2009/07/19
Ayre MX-R電源投入後4日目、電源入れっぱなしで約80時間経ちました。
昨日ぐらいからもうほぼ安定期に入ったようです。音もかなりこなれてきて、帯域内の音圧ムラもなくなり、再生帯域もほぼ伸びきった感じです。
MMWボード、ACケーブル、Eau Rougeスパイク+ベースで対策したMX-Rですが・・・、
総評としては、う~ん、非常に惜しい。
外観、デザインについては文句なし。理想形です。音もかなりの線で素晴らしいと思います。
しかし、300万のアンプにしては、という条件が付きます。かなり素晴らしいけど、価格を大幅に超えて突き抜けたパワーアンプとまでは言えないかな。
こちらをノックアウトするほどの音を、300万で手に入れるのは所詮無理なのでしょうか。telosとかsoulutionとか、とんでもない投資が必要なのでしょうか。
お金を出せる人は、どんどん投資してもらえばいいのですが、自分にはMAX300万が精一杯。それでも長期ローンになってしまいます。
やっぱり、Eau Rouge MX-ERを聞いてしまっては、ノーマルのAyre MX-Rでは心から満足できません。
明日は、カスタムチューンを施してもらうべく、Eau Rougeに送ります。しばしのお別れです。
Mark Levinson No.32L ― 2009/07/20
本日Ayre MX-RはEau Rougeに向けて旅立ちました。1~2週間でカスタムチューンを施されて戻ってきます。今はまた、Eau Rouge MX-ERに戻して聞いています。やっぱりいいですね(^.^)
さて、今日はボリュームの話です。
Ayre MX-Rは、Classe Omega Omicron monoと比べてゲインが3dB低い。当然No.32Lのボリュームを3dB上げればいい。単純な話です。
でも、単純な話で済まないのがオーディオです。
Omegaのときは、32Lのボリュームは61.0dBでした。MX-Rに交換した場合、+3dBの64.0dBにすればいいだけなのです。でも、最終的に写真のように76.0dBになっています。
32Lをご存じの方はもうお分かりだと思いますが、Omegaのときは32Lのゲインを+12dBにしていたのです。
32Lは、ゲインを6dBごとに18dBまでアップできます。+6dB、+12dB、+18dBと3段階で選択できるのです。
ゲインを上げていくにつれ豊かな感じの鳴り方になります。低域が充実して、ある意味聞きやすくはなっていきます。でもその分、ややキレのない鳴り方になっていきます。
Omegaの場合、ゲイン+12dBがベストだったのですが、MX-Rではいま一つだったので、いろいろ試した結果ノーマルの0dBを選択しました。ですから、最終的にボリュームが、61.0dBから+15dBの76.0dBになっているのです。
32Lのボリュームは80dBまでなので、ほぼフルボリュームです(^_^;)
このゲイン調整は、例えばTVなどの、音質調整や画質調整みたいなものだと私は解釈しています。まあ、それよりもっと微妙なものですが。
TVなどの場合、すべてノーマル状態だとやや物足りなく感じて、けっこういじくりますよね。でもいじればいじるほど、ノーマル状態とは離れていきます。だいたいやりすぎて失敗するんですよね。
わけがわからなくなった時、一旦ノーマルに戻してやりなおした経験はありませんか。私はよくあります。結局ノーマルが一番自然だったりして。
TVの話とはちょっと違うかもしれませんが、Ayre MX-Rは32Lのノーマルとベストマッチだということです。
これは、ちょっと嬉しかったですね。32Lの最も素の状態とAyre MX-R(正確にはEau Rouge MX-ERですが)、これが素晴らしいマッチングだったなんて。
Mark Levinson No.32L、見直しました。最近のパワーアンプでもちゃんと最高のパートナーシップを実現して見せてくれるなんて、底知れぬポテンシャルを秘めています。いまだよく分からないプリです。
ただ、決して美音を聞かせてくれるプリではありません。気難しく頑固なプリだと思います。実は、No.32Lはやや音の出し方が渋いな~、などと思って、次の交換対象の筆頭だったのです。
周りがちゃんと踊ってくれない限り、自分も踊らない。でも、周りがあふれんばかりの情熱を奏でたいとき、その時初めて最高の舞を舞ってくれるような感じかな。
今回のパワーアンプ交換の顛末で、No.32Lは色褪せるどころかますますその存在感がアップしました。
手放さなくて本当によかった~(^.^)
システム全景 ― 2009/07/21
久しぶりのシステム全景写真です。もう見飽きましたよね(^^ゞ
中央のブラックのEau Rouge MX-ERは、1~2週間後にシルバーに変わります。よくよく考えると、これがシルバーだったらホームシアターでは余計な反射が災いしそうですね。
でも、私はホームシアターはド素人で、それほど頻繁に見ませんし、そもそもビジュアルに関しては、DVDクオリティで満足しているようなへたれです。
子供と一緒に、大画面でDVDを見られればいいや、と思っているレベルなのです。
ですから、この明るい状態で音楽を聴くことの方が圧倒的に多いので、シルバーの輝きを常に見ていたいと思う方です。
まあ、私は、金属フェチを自認していますから・・・、シルバーの輝きがたまりません。
さて、昨日、Ayre MX-RをEau Rougeに送り、借りっぱなしですいませんのEau Rouge MX-ERを再セッティングして丸1日、全く今日の音は素晴らしい。
まず、SP側の壁全体から音が包み込むように迫ってくる。それも、深い奥行きを伴って。そして、ティンパニ、バスドラム、オルガンの空気の震え、この区別のつきにくい領域を重苦しさを感じさせることなく提示してくれます。中高域においても、各楽器の密度感、濃密さは比類がないと思います。
決して高域特性を落として聞きやすくなっているわけではありません。全帯域の情報量が卓越した上でのピラミッドバランスなので、聞いていてすごく充足感があります。もちろん、オーディオ的にも満足感が得られます。
今まで、「コンパクトな機器で最高の音を。しかも音に対しては決して妥協せず」をモットーにやってきました。
こんな目標を掲げていたのですが、Eau Rouge MX-ERは、今まで思い描いていた理想的な再生をかなえてくれました。こんな出会いはめったにないと思います。まさに千載一遇ですね。
このアンプを聞くにつれ、他の500万~1,000万、あるいは1,000万超のアンプと対決させたくなってきますね。それだけの能力があるアンプだと思います。