ムラヴィンスキー/チャイコフスキー後期三大交響曲 ― 2010/05/04
連休前に届いた4枚のSACD/XRCDのうち、トップはまず、このSACDからです。
詳細はこちら。
http://www.esoteric.jp/products/esoteric/essg90037_38/index.html
このSACDについて、こういう評を見つけました。
「そう言えば近頃、チャイコフスキーの交響曲の人気はもう一つの感じ。最近の録音はほとんど聴いているが、確かにかつての記憶のように、からだの中から燃え上がってくる情熱の炎が足りない。ダイナミックではあっても、どこか都会的な精緻さや知性にコントロールされている印象だ。そう気付かせたのは久々に聴いた、このムラヴィンスキーとレニングラード・フィルのディスク。とにかくこの演奏は熱い。それも表情はしなやかでいて、かつ熱い。地の底に埋もれていたロシアの情熱が一気に噴き上がるように熱い。これがチャイコフスキーの魅力だったと納得した。同時に収録も文句無しの出来ばえ。これはDG 盤ならではで、当時のロシア盤ではけっして得られない良質な録音も得難いものだ。(柳沢巧力)」
http://www.stellavox-japan.co.jp/z_clubstella/classic/y004.pdf
評論家特有のやや飾りの多い文章ですが、主旨は全く同感。
まず、私も、近年のチャイコフスキーのシンフォニーは巧くて録音もいいものが多いけど、聞いていて思わず引き込まれる感じが少ないと思っていました。チャイコフスキーは少々オーバーな演出をされたほうが似合うと思います。ここら辺りがどちらかといえば通俗的な交響曲と言われる所以かもしれません。
演奏も熱いですが、オケのメンバーひとりひとりが巧いです。ソロや旋律は当然ですが、目立たない内声部や刻みなどでも音楽に浸って、みんなが歌っています。
また、旧ロシアオケにありがちな金管バリバリのうるさい演奏ではありません。いや金管も強烈な時は強烈です。第4番の冒頭のトランペットなんか、まるでレーザービームです。最近はこんな素っ裸の高音などとんと聞いたことありません。でも、うるさいのではなく、その巧さと強力さが分かるという感じです。
録音が古いので、静かな部分ではノイズが目立つところもあるのですが、曲が進行していくにつれ、そんなことは忘れていきます。
これは、買って損はないと断言できます。いや、今まで持っていたCDやSHM-CDを手放してもこちらを買うべきだと思います。
まあ、全く興味のない、あるいは嫌いだという方には関係のない話です。
Adagio Karajan / XRCD ― 2010/05/05
XRCD/Adagio karajan ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィル 4,725円(税込)
1 パッヘルベル/3声のカノンとジーグ
2 マスネ/タイスの瞑想曲
3 ブラームス/アンダンテ(交響曲第3番より)
4 グリーグ/ペール・ギュント第1組曲より「オーゼの死」
5 モーツァルト/ディヴェルティメントKV287~アダージョ
6 アルビノーニ/アダージョ
7 ベートーヴェン/アレグレット(交響曲第7番より)
8 バッハ/アリア(管弦楽組曲第3番より)
9 シベリウス/悲しきワルツ
所有しているゴールドCDは、11曲入っていましたが、このXRCDは2曲少なくなっています。マーラーのアダージェットは抜いて欲しくなかったな~。それだけで座布団1枚の減点です(`´)
しかし、その他はすべてよくなっています。もともとちょっとウォームな録音なのですが、そのいい感じのウォームさは損なわずに、しかも、分離感が向上して抜けがよくなっています。明らかに従来のCD、SHM-CDとは違うと思いました。
今までは、このCDを、夜のBGM的に聞いていましたが、本格的に聞いても聞き込める音になったと思います。
ただしかし・・・、Esoteric SACDと比べると、やはりフォーマットの差なのでしょうか、飛躍的な感動まではありませんでした。
このXRCDを聞いて、改めてSACDの価値を再認識したという感じです。やっぱり、SACDは現在望み得る最高の音楽フォーマットだな~、と思います。
XRCDでもかなり素晴らしいのですが、SACDはXRCDのもうちょっと欲しいという部分をあっさりかなえてくれる感じ。XRCD、SACD、どちらも素晴らしいのですが、XRCDは伸びきった感じ。SACDはまだまだ伸びしろのある余裕残しの感じ。
例えて言えば、XRCDは現有機器の中で、これ以上ない完璧なイコライジングを駆使した感じ。SACDはそういう伝統的な技芸を受け継ぎながら、新たな境地を切り拓いた後継者というイメージです。
SACD、やっぱりすごいです。応援します。
Esoteric SACD ― 2010/05/06
アルノルト・シェーンベルク(1874-1951) | ||
1 | 浄夜Op. 4(1899)[弦楽合奏版(1943)] -リヒャルト・デーメルの詩による- | |
アントン・ヴェーベルン(1883-1945) | ||
2 | 管弦楽のためのパッサカリアOp. 1(1908) | |
アルバン・ベルク(1885-1935) | ||
3 | 3つの管弦楽曲Op.6 (1914-15)[改訂版(1929)] ヘルベルト・フォン・カラヤン (指揮) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
|
ヨハネス・ブラームス(1833-1897) |
交響曲第4番ホ短調Op.98 |
1980年3月12日~15日、ウィーン、ムジークフェラインザールにおけるデジタル・レコーディング
上は、アナログ録音が最も熟した時の録音、下はデジタル録音初期のものです。
結論から言うと、この2枚、どちらも素晴らしかったです。特に聞くべきところは弦のニュアンスが格段に向上したことです。
若干きつめの高弦だったのが、細部までがよく分かるようになりました。きつい部分を抑えたのではなく、表現の細部まで描き切ったという感じの再生です。帯域バランスも厳密にとったのでしょうが、それよりも微妙なニュアンス、克明さなど、これはかなり聞き込ませます。
ブラームスの弦、特にチェロなどこんなに表情豊かに朗々とうたっていたのかと、聞いていて改めて感じ入りました。
ブラームスは、実はあまり聞かないでいたCDなのです。なぜかというと、特性的にはけっこういいんだけど、聞いていてあまり感動しなかったのです。印象が薄いCDでした。クライバー/ウィーン・フィルのものという稀少価値から購入したようなものです。やっぱり、デジタル初期の録音でいいものはないな~、という印象でした。
「新ウィーン楽派管弦楽曲集」は、個人的にはもう少し小編成の方が似合うと思っていました。ちょっと重いかな~、という印象でしたが、このSACDを聞くと、オリジナル編成にはない魅力を再発見しました。
EsotericのSACD、これは本物ではないでしょうか。今後ともレパートリーを増やしていってほしいですね。
1枚1枚かなり高価なのですが、こういう入魂のものには納得してしまいます。
追加購入 ― 2010/05/08
アントニン・ドヴォルザーク(1841-1904) 交響曲第8番ト長調Op.88
ヨハネス・ブラームス(1833-1897) 交響曲第3番へ長調Op.90
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
1961年9月29日~10月8日/1963年9月 ウィーン、ゾフィエンザール
Esoteric SACDシリーズ、勢いづいて購入してしまいました。
まだ一概には言えませんが、このシリーズは、1960~70年代録音のほうが素晴らしく向上しているという印象です。
このSACDは、当初不具合があったということで、しばらくリコール期間がありました。何でも2小節ほど抜けていたとか・・・。
しかしそんなことってあるんですかねー?
DECCAマスターテープってそんなにいい加減なものなんですかねー。
あと、マスタリングしている時点で気がつかないなんてねー、ちょっとイメージダウン・・・。
まあでも、今回私が購入したものは、ちゃんと修正されたものです。型番に#がついているのが正しい盤だそうですから。ちゃんと#がついていましたよ。
実は、この録音は初めて聞くので、CDとの比較ができません。
純粋に演奏を楽しむことにします。
ちょっと東京へ ― 2010/05/22
ブレーカー ― 2010/05/23
これは当初、希望しない予定でした。
なぜかと言うと、これだけオーディオに投資しているというのに、我が家の屋内配線は全く手つかずでお粗末そのものなのです。このブレーカーはオーディオ部屋の4つのコンセントに電源供給しています。オーディオにはそのうちの1つのコンセントから電源をとっています。
ブレーカーを交換しても、オーディオに電源供給しているコンセントに、このブレーカーの恩恵がダイレクトに伝わるわけではありません。更に、部屋のその他のコンセントにはパソコン、DVDレコーダー、プロジェクターなどのノイズ発生源がつながれています。
つまり、こんな貧相で劣悪な電源事情では、投資効果は期待できないだろうと思っていたのです。
しかし、予想に反して、交換した直後から、まず音場が段違いに拡大しました。空気感、臨場感が完全に違います。空気感の向上の仕方は並ではありません。これを聞いただけでも、このブレーカーの底知れぬ実力が分かります。
昨日取り付けて、電源入れっぱなしで一晩おいて、今日も聞いています。昨日より良くなっています。安定しています。これは素晴らしいと思います。
しばらく聞いていて、思い出しました。再生の大枠自体をグワッと拡大する、その向上の方向性は、以前導入したコンセントER-PSZと同様です。いや、向上の程度がコンセントのときより大きい。ER-PSZの半値以下でこのパフォーマンス、対投資効果は抜群に高いと思います。
どこがどのように変わったなどという部分的な変化ではありません。再生能力がすべて根こそぎ一気に向上します。あくまで広く、深く、しかし、決して薄まらない。
空間の圧倒的拡大と各楽器のリアルさ・色濃さの両立・・・、これは素晴らしい!!
時折部屋のあちこちから振動が聞こえてくるようになりました。うれしい悲鳴といったところです。スピーカー側の壁面一帯から深々とした音の洪水が押し寄せる。快感です。
試聴しながら身を乗り出すような衝動にかられる、久しぶりにハイレベルな体験をしました。